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中国の製薬会社は、米FDAにおける信達生物製薬(Innovent)の経験から何を学ぶべきか?
毛冬蕾·3月以前
医薬研発达人

編集長コメント(第19号に寄せて)

2021年中頃から米国や中国でずっと注目されてきた信達生物製薬(Innovent Biologics)とEli Lillyによる1st-line metastatic NSCLC対象の中国製PD-1阻害剤Sintilimabの化学療法併用の米国BLA申請は、2022年2月10日の米国FDAのOncologic Drugs Advisory Committee (ODAC)の審査・投票結果、ならびに2022年3月24日のEli Lilly News Release (FDAから審査完了したが承認には至らなかったとのComplete Response Letterを受領した。そのレターではOSをendpointとする標準療法対照の非劣性デザイン国際共同治験Multi-Regional Clinical Trial, MRCTの追加実施が推奨されていた)にて、一応の終結をみた。


本トピックは、これまで中国や米国等の多くのメディアで取り上げられてきているが、今回の終結を受けて、本号の医薬研発達人においても、掘り下げを行った。

本号の冒頭にあたり、個人としての感想・解釈など、以下の3つの観点からコメントさせていただく。


1.ORIENT-11が中国ローカル試験として実施されたのは、必然だったか?

ClinicalTrials.gov (NCT03607539) によれば、ORIENT-11の試験開始日は2018年8月23日となっている。米国ではその前年の2017年には1st-line metastatic NSCLCに対してpembrolizumabと化学療法の併用療法が承認され、既に標準療法は従来の化学療法単独からPD-1併用に置き換わっていたし、試験開始前には米国でのpembrolizumabの本適応はPFSによる加速承認からOSによる通常承認に格上げされていと理解している


従って、もしORIENT-11開始前にプロトコルデザインについてFDAと相談を行っていれば、対照群(プラセボ or 先行PD-1)にしろ、primary endpoint (PFS or OS)にしろ、FDAから合意を得るのは、非常に厳しかったものと予想される。また、本試験開始の頃1st-line metastatic NSCLCに対するpembrolizumabと化学療法の併用療法は、中国でも承認が迫っていた時期なので、米国以外の欧州やアジアと組むMRCTとしてプロトコルのレジメンやprimary endpointで他国規制当局とIND審査/交渉が長引いたり決裂するのは避けたかったはずである。従って、ORIENT-11が中国ローカル試験として実施されたのは、必然だったのでは、と思われる。


2.今回のODACFDAの判断は、想定範囲内であったか?

以下の本号の本文中に詳細に記述されているように、今年2月10日のODAC結果も、3月下旬のFDA Complete Response Letterも、そこに書かれていることは極めて正論であり、合理的な判断がなされたと見える。今回の対象規制当局がFDAではなく、EMA、PMDA、NMPAであったとしても、FDAと同様の判断が下されていたものと思われる。


ORIENT-11は、MRCTではなく、中国(外国)でのローカル試験なので、ICH-E17ではなく、ICH-E5が該当する。ORIENT-11の組入れ患者は全員が中国人(アジア人)で、白人・黒人・ヒスパニックなどは含まれていない。本試験では中薬(漢方薬)との併用例が多かったが、米国ではそもそも中薬(漢方薬)は使われていない。ORIENT-11以外の試験から米国患者39例のPK dataは存在するが、米国の1st-line metastatic NSCLC患者に対する有効性・安全性データは存在しない、といった状況で、ORIENT-11のデータからE5のbridgingの概念に基づく米国への外挿は困難と言わざるをえない。ちなみに、orphanやultra-orphanであれば、米国人患者での有効性・安全性データが無くても、Direct NDA/BLA approvalの可能性がまだ残っていたかもしれないが、本試験の対象はメジャーがん種のひとつであるNSCLCであるため、患者数的にも厳しい。


ここで、大きな疑問が湧いてくる。今回のODACとFDAの結論は、世界中の医薬品開発専門家から見ると、当たり前過ぎて議論の余地が無さそうである。ということは、信達生物製薬(Innovent Biologics)とEli Lillyは、はたして勝算ゼロで、高額なBLA申請費用を支払ってまで、ダメ元で米国でのBLA申請に挑戦したのであろうか? 素人製薬企業がFDAと事前協議一切無しでBLA申請をぶち込んだのであれば分からなくはないが、今回、彼らは2020年にFDAとPre-IND Meetingに加えて、Pre-BLA Meetingを持っている。Pre-IND Meetingは米国で治験を始められるかどうか、始めるとしたらどんなデザインか、といった協議の場なので、将来のBLA申請clinical data packageの話まで及ばないかもしれないが、Pre-BLA Meetingでは確実にORIENT-11データの米国への外挿性や米国BLA申請に必要な臨床データに関する議論がなされているはずで、もしその時にFDAから、今回の結論同様に米国でのBLA承認に向けたclinical data packageの充足性について完全否定されていれば、そもそも彼らは、追加試験を検討することなく2021年前半に米国でBLA申請を行っていないのでは、と思えてならない。


3.中国の多くの製薬企業・バイオテックが同じ道を進んでいるわけではない

本トピックは、これまで多くのメディアで取り上げられてきているが、中国ローカルデータが米国で受け入れられるか、といった論調が多い。すなわちICH-E5の切り口で語られている。今回のSintilimabのケースは、確かに世界中から注目を集めたし、中国の多くの製薬企業・バイオテックにとって良い教訓ともなったが、中国ローカル治験→中国申請・承認→外国展開という時間差での開発戦略は、中国において、もはや下火である。


中国の製薬企業・バイオテックが、今考えているのは、世界医薬品市場1位と2位を占める米国と中国を中心とする世界同時開発であり、ICH-E17 MRCT Guidelineの切り口である。E17において、sample size allocation等どこの国・地域にどれだけの症例数を配分するか、試験開始前にどの規制当局と相談を行うか、といったconflict/論点は引き続き残るが、世界同時開発を開発戦略の主軸に置いている限り、先行する外国治験データからの外挿性といったE5由来の問題は、今後、生じて来ない。すなわち、今回、米国で生じたSintilimab問題は、今後繰り返されていくものではないと考えられる。

高野 哲臣(Labcorp Development Japan)



文|毛 冬蕾(Mao, Donglei 安波(Xiang,Anbo) 


アメリカの2022210日(中国時間10日深夜23~11日午前4時)、FDAの腫瘍薬諮問委員会(ODAC)が開催された。今回のODACは、中国のイノベーション企業信達生物製薬(Innovent)と米Eli Lilly社が提出した、中国で実施されたORIENT-11 臨床試験に基づくSintilimabの生物製剤承認申請(Biologics License Application: BLA)を審査するためであった。


4万人超える中国人医薬品研究開発関係者が、Youtubeや薬融社などのメディアを通じてODAC会議をオンラインで観覧し、眠れない一夜を過ごした。その後の2週間ほどにも、業界のベテランから普通の研究者たちまで、様々なメディアや会議でODACの結果についてさらに熱い議論が交わされ、中国の医薬品会社の海外進出戦略が検討された。この事件は海外進出を望んでいる中国の製薬業界にとって近年最も大きなイベントとなった。


ORIENT-11試験は、中国で行われ、進行または転移性非小細胞肺(nsqNSCLC)を有する患者の第一選択治療として、ペメトレキセド+白金制がん剤+プラセボと比較して、ペメトレキセド+白金制がん剤+Sintilimabの有効性と安全性を評価した第3相臨床試験である。


中国において、Sintilimabは既に4つの適応症が国家食品薬品監督管理局(NMPA)に承認され、『国家医療保険医薬品リスト』(NRDL)に収載されている。


 画像出典:FDA ODAC Meeting


ある程度予期されたことであったが、専門家委員会の最終投票は14対1で、SintilimabはFDAに承認される前に、米国の患者および治療への適用可否を実証するための追加の臨床試験が必要であるとされた。

 

『医薬研発達人』のインタビューに答えて、中国国家薬品監督管理局医薬品審査センター(CDE)の関係者は、FDAの決定がかなり合理的であると述べた。中国においても同様に、海外の新薬を承認する前にMRCTや中国の人口を含むブリッジ臨床試験を行いその適用性を示す必要があり、中国の治療実態に適用可能であることを示すことが要求されている。


今回SintilimabのBLA申請は、中国製薬会社に開発されたPD-1阻害剤の初の海外進出の試みであり、真剣な分析に値する画期的な事件であった。



Pazdur博士は中国のバイオテクノロジーに海外に行くよう呼びかけた

 

Innoventと言えば、FDAの腫瘍学センター・オブ・エクセレンスのディレクターであるRichard Pazdur博士に言及せざるを得なかった。


Pazdur.jpg

画像出典:https://fortune.com/

2015年の中国のNMPA医薬品監督改革以来、中国のバイオ医薬品企業の研究開発力は向上しずつ、一部の企業は米FDAにINDを提出し、海外進出を計画している。2019年3月31日、Pazdur博士は、米国がん研究協会(AACR)で出席の際に下記の発言をした。2018年に中国を訪問した際、多くの中国企業にFDAが中国の臨床データのみに基づくNDA申請を受け入れるかどうか尋ねられた。臨床データの品質が十分である限り、答えは肯定的である。また、高品質で低価格のPD-1/PD-L1抗体を米国市場に導入するよう中国の製薬会社に呼びかけた。

 

おそらくPazdur博士の発言に勇気づけられたのであろう。InnoventとEli Lilly社は、中国の臨床データを使用して、2021年5月10日にSintilimabのBLAをFDAに果敢にも提出した。2020年4月を始めとして、FDAとIND前相談、BLA前相談およびタイプC会議が行われたが、ORIENT-11 臨床試験が既に2018年から中国で開始されたため、プロトコル設計についてFDAと正式なコミュニケーションがとれなかった。


InnoventはODAC会議に於いて、IND前相談、BLA前相談、FDAとのタイプC会議があったことを詳述した。



 画像出典:FDA ODAC Meeting


2020年8月21日のPre-BLAの議事録には、「全体的に、提案された安全性データベースと各試験におけるカットオフ・タイミングは受け入れられる」ことを示された。Innoventの発表によると、この議事録はFDAがBLAを受け入れたことを意味するが、この薬を必ず承認することではない。


 画像出典:FDA ODAC Meeting


FDAの審査官はODAC会議において、「業界ではよく知られていることであるが、医薬品開発計画に関する正式な薬事上の助言や将来的な合意を得るためには、FDAの審査官との学会での非公式の議論ではなく、FDA当局と正式的な議論が不可欠である。したがって、FDAは根茎の件について戸惑っており、Innoventがどうしてこの試験開始前または開発の早い段階でFDAと議論に来なかったのか、知りたいと思っている。」と強調した。

 

「彼らは学会でのスピーチから結論を得るのではなく、私たち(FDA)から正式な薬事上のアドバイスを受ける必要がある。」Puzder博士はそう言った。

 

FDA CDERの臨床薬理審査部定量薬理学レビュー課の元部長である王亜寧 (Wang, Yaning) 教授は、「FDAとのコミュニケーションは不十分であり、科学的な問題に関する合意は達成されているようには見えない」と述べた。中国の製薬会社は、臨床試験を実施する前にFDAとの正式なコミュニケーションを開始するべきであり、いかなる場合でも規制当局の関係者による個人的な発言は、FDAの公式文書またはガイドラインがない限り容易に正式なものとして考えられるべきではない。」

 

中国の上海に拠点を置くグローバルCROである締脈生物(dMed)のCOOである 慧(Angela Yan)氏は、米FDAには権威を持つプロの審査員チームがあるので、FDAにINDを提出する予定の中国の製薬会社は、できるだけ早くFDAとコミュニケーションを取るべきだと提案した。



FDAの公式視点


InnoventとEli Lilly社のORIENT-11試験に対して、FDAより下記4つの指摘があった。

 

第一に、化学療法のみの群は本試験の対照群として適切ではない。

 

2018年8月20日に化学療法と併用したKeytruda (Pembrolizumab)がnsqNSCLCの治療薬として承認されて以来、転移性肺がんの標準治療が変わり、第一選択療法が化学療法から「免疫療法+化学療法」の併用療法となった。Keytrudaの臨床データは、承認前から既に広く公表されていたが、その後ORIENT-11試験が開始された。全生存期間に対するキートルーダ化学療法の臨床的および統計的に有意な効果を考慮すると、化学療法のみを対照群とするべきではない。

 

 画像出典:FDA ODAC Meeting


第二に、すべての治験参加者は単一国のアジア人患者で構成されているため、ORIENT-11試験の結果は、外国データの受け入れに関する21 CFR 312.120および314.106に概説されている基準を満たしていない。




 画像出典:FDA ODAC Meeting


FDAは、単一国の臨床試験データは米国の患者には適用できないと考えている。ORIENT-11の患者集団は、単一国試験として、米国における肺がん患者の人種的および民族的多様性を反映していない。



 画像出典:FDA ODAC Meeting


2022年2月4日、Puzder博士はランセット(《Lacent》)紙に「中国からの抗腫瘍薬臨床試験の導入:氾濫する川に架かる橋」(《Importing oncology trials from China: a bridge over troubled water 》)と題する記事を発表した。記事には、少なくとも25品目の中国からの免疫抑制剤の新薬申請がほぼ中国のみでの臨床試験データに基づいていると指摘し、「単一の外国のデータは米国の状況を表すことはできない」。これは、FDAが中国のPD-(L)1阻害剤を米国に導入しようという立場を変えているという最初の兆候であった。


第3に、臨床試験エンドポイントとして無増悪生存期間(PFS)を選択したが、全生存期間(OS)は選択しなかったことである。全生存期間は、抗腫瘍薬の臨床試験に最も信頼できるエンドポイントと考えられており、合理的に評価する場合に好ましい。今まで、FDAに承認された転移性nsqNSCLCに対するすべての第一選択免疫療法は、統計学的に有意なOS改善に基づいている。


さらに、Innoventが「試験デザイン」に関してFDAに相談していなかったことも指摘された。もしFDAに相談した場合、全生存エンドポイント(OS)を用いた、FDA既承認PD-1薬とSintilimabの直接比較試験が推奨された可能性がある。


第四の理由は、FDAが中国の48つの臨床試験センターのうち2つの査察を行ったことであるが、2016年に元のCFDAの報告書を引用し、「中国からの臨床試験データの80%が『不正または標準以下』であった」と指摘した。しかし、北京大学第一附属病院生物統計学科長の姚 晨(Yao, Chen)教授は、「医薬研発達人」に対し、この見解は時代遅れで誤解を招くものだと指摘した。同氏は、2015年の「722通知」による中国の薬事規制改革および2017年にICHに加盟して以来、中国の規制当局は臨床試験の品質を確保するための厳しい政策を導入し、臨床試験の従事者らはデータの正確性を確保するために最大限の努力をしていると主張した。


したがって、Sintilimabは米国のNSCLC患者に対する臨床ニーズを満たしておらず、中国からの臨床試験データに基づいてFDAの承認をサポートするには不十分とFDAの見解であった。


MRCTおよびICH E5/E 17の重要性


ODAC会議において、FDAはICH E5とE17の重要性を強調した。ICH E5の主な目的は、マーケティングアプリケーションの基礎としての外国データの受け入れ可能性を決定するための3つのステップを概説することによって、重複する臨床試験を最小限に抑えることである。今回のSintilimab開発プログラムのための単一国試験の利用は、ICH E5では想定されていない。


 画像出典:FDA ODAC Meeting


一方、ICH E17では、単一の国や限られた地域で臨床試験を実施するではなく、医薬品開発のすべての段階でMRCTの戦略的使用が重要視されている。

 画像出典:FDA ODAC Meeting

中国の一部の専門家によると、MRCTによって、各国独自の重複試験が回避され、医薬品開発をより効率的に促進し、新規治療薬をより早く世界的に応用できる。そのため、中国の製薬会社は初期段階でMRCTを実施すべきである。こうした観点から、米国FDAと中国のCDEは同様な見解を持っていると考えられる。中国CDEはまた、外資系企業が中国でできるだけ早くMRCTを実施することを期待している。



信達生物製薬(Innovent)からの反論


ODAC会議の後、Innoventの創設者兼CEOである 德超(Micheal Yu)博士が演説を行った。「Innoventは、BLAを提出する前にFDAと3回面談を行い、肯定的なフィードバックを受けていた。しかし、最近FDAの態度が変わり、その影響を受け、ODAC会議の投票は残念な結果となった。」

 

德超博士は中国浙江省の山岳地帯の農家で生まれた。子供の頃に貧しくて靴下さえ履けず、また母は胃癌を患っていて、良い治療方法がなく、苦しい生活を送っていた。そのため 德超博士は、世界の貧しい患者が手頃な価格で入手できる抗腫瘍薬を発明して製造する夢を常に持っていて、10年前にInnoventを設立した。


『医薬研発達人』はInnoventの次の計画は何かと尋ねた。「新しい研究開発プロジェクトといくつかのMRCTの準備をしており、グローバリゼーションの能力を強化して行きたい」と同社関係者は答えた。


終わりに


要約すると、海外進出の夢を持っている中国企業がイノヴェントの経験から次のことを学ぶべきと思う。


まず、開発戦略を策定する段階からグローバル化を考慮し、詳細な臨床開発計画を立て、十分なデータと証拠を持つ医薬品の安全性と有効性を実証し、グローバルに使用する必要がある。

次に、ICH E5とE17の精神と概念を十分に理解した上、臨床開発を加速するためにMRCTを実行する必要がある。また、満たされていない医療ニーズに基づいて、対象国の標準治療法を対照群とした研究設計も含まれて、慎重に検討するべきがある。


最後に、審査官が何らかの機会に言ったことに頼りすぎるのではなく、できるだけ早く薬事規制や正式な手順に従い、臨床試験プロトコルと申請計画についてFDAと充分なコミュニケーションを取ることが重要である。


今回のODAC投票は残念な結果となったが、Innoventは大きなプレッシャーに耐え、世界の舞台で自分自身の考えを示した。多くの中国製薬企業はイノヴェントのチャーレンジ精神を称賛した。またこの試みより貴重な経験と教訓が得られた。


実際、記事の冒頭で述べたように、中国のバイオ医薬品企業は2015年以降に研究開発能力を高めており、一部の企業は新薬臨床試験を海外に申請している。2019年のPharmaDJの統計によると、50社以上の中国の製薬企業の84品目の医薬品が、CDEとFDAの両方にINDを提出しており、MRCTを実施していた。 


2019年11月15日、BeiGene 社のBTK阻害剤であるBrukinsa (Zanubrutinib)は、多くのMRCTと高品質の臨床データを通じてFDAにより承認された。これは、中国企業が独自に開発した医薬品の初「海外進出」であった。


2022年2月28日、再発・難治性の多発性骨髄腫を治療するため米Janssen社と中国の南京伝奇生物(Nanjing Legend Biotech)と共同開発したBCMAを標的とするCAR-T細胞療法はFDAに承認された。Janssen社のグローバル腫瘍部門の責任者であるPeter Lebowitz氏はフィナンシャル・タイムズ紙に対し、「2015年以前、中国のバイオテクノロジー企業は”既存の医薬品のわずかに良いバージョン”を策定することに焦点を当てていたが、今、中国には”真の革新”がある」と語った。

 

『医薬研発達人』に1ヶ月以上追跡したInnoventのSintilimab BLA申請に関する事件は、ようやく、2022年3月24日、注目される結果が来た。この日、Eli LillyはFDA より審査完了報告通知(Complete Response Letter: CRL)を受領したことを発表した。CRLには、追加の臨床試験、特に第一選択の標準療法を対照群とし、全生存期間エンドポイントを有する非劣性デザインを利用したMRCTの推奨が含まれている。Innoventと共に、Eli Lillyは米国におけるSintilimabプログラムの次のステップを検討している。

 

今後も中国企業が海外に進出し、より多くの中国発の創新薬がFDAの承認を得て世界中の患者に提供されるように心から願っている。


*「722通知」について

2015年7月22日、旧国家食品医薬品局(CFDA)は、医薬品の臨床試験データの自己検査と検証に関するお知らせ(以下「722通知」)を発行し、申請者に自己検査の機会を与え、医薬品登録申請を撤回したり、臨床試験データの品質を向上させるためのタイムテーブルを提供したりすることを提唱した。2015年末までに、1622件の医薬品登録申請受付番号のうち、80%以上が申請者によって自主的に自己検査のために撤回された。

 

「722通知」は、中国の臨床研究の薬事規制改革の重要なシンボルである。その後、元CFDA監査検査センター(CFDI)は、最も厳格な基準、最も厳しい規制、最も厳しい罰則、最も深刻な説明責任(中国業界では「4つの最も厳しい」)を基本原則と行動指針とし、一連の規制を導入し、臨床試験データの特別検査を開始し、臨床試験のオンサイト検証を強化し、中国での臨床試験の品質を確保するために最大限の努力をした。



本記事の日本語訳と編集、レビューをいただいた創響生物チーフメディカルオフィサー&臨床運営上級副総裁 項 安波(Xiang,Anbo)博士、医薬品開発コンサルタント植村 昭夫博士、医薬研発達人編集長 高野 哲臣氏に深く感謝申し上げます。


参考文献:

【1】 February 10, 2022: Meeting of the Oncologic Drugs Advisory Committee Meeting Announcement

https://www.fda.gov/advisory-committees/advisory-committee-calendar/february-10-2022-meeting-oncologic-drugs-advisory-committee-meeting-announcement-02102022

【2】 FDA Briefing Information for the February 10, 2022 Meeting of the Oncologic Drugs Advisory Committee

https://www.fda.gov/media/156021/download

【3】FDA Presentations for the February 10, 2022 Meeting of the Oncologic Drugs Advisory Committee

Sintilimab for Locally Advanced or Metastatic Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC)

Oncologic Drugs Advisory Committee (ODAC) Meeting February 10, 2022

Harpreet Singh, MD Director, Division of Oncology 2 Office of Oncologic Diseases

https://www.fda.gov/media/156089/download

【4】 Innovent and Eli Lilly Presentations for the February 10, 2022 Meeting of the Oncologic Drugs Advisory Committee

BLA 761222 ODAC Sintilimab BLA in non-squamous NSCLC

U.S. Food & Drug Administration Oncologic Drugs Advisory Committee February 10, 2022

https://www.fda.gov/media/156090/download

【5】 Innovent Briefing Information for the February 10, 2022 Meeting of the Oncologic Drugs Advisory Committee

https://www.fda.gov/media/156022/download

【6】 ‘I have a right to change my mind’: A top FDA regulator is unapologetic over his about-face on Chinese cancer drugs

https://www.statnews.com/2022/02/08/i-have-a-right-to-change-my-mind-a-top-fda-regulator-is-unapologetic-over-his-about-face-on-chinese-cancer-drugs/

【7】Importing oncology trials from China: a bridge over troubled waters?

https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(22)00071-7/fulltext

【8】ORIENT-11 at ClinicalTrials.gov (NCT03607539)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32781263/

【9】U.S. FDA Accepts Regulatory Submission for Sintilimab in Combination with Pemetrexed and Platinum Chemotherapy for the First-Line Treatment of People with Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer

https://www.innoventbio.com/InvestorsAndMedia/PressReleaseDetail?key=245

【10】No Love: Chinese Oncology Firms Scramble To Cope With New US Reality

https://pink.pharmaintelligence.informa.com/PS145690/No-Love-Chinese-Oncology-Firms-Scramble-To-Cope-With-New-US-Reality

【11】20220211_ Armstrong_14比1:FDA专家委员会要求信达生物/礼来制药PD-1补充临床试验

https://mp.weixin.qq.com/s/KA-37H3l9zsC_WxhNrxeIg

【12】信达/礼来PD-1出海短期遇阻,而我们仍相信未来星辰大海

https://mp.weixin.qq.com/s/SURMcgdJzsMXNxawOr1yug

【13】礼来/信达PD-1抗体遭FDA专家组否决

https://www.yypharm.com/?p=25713

【14】翻看了几十篇资料后,前FDA顶级科学家王亚宁博士把这件事捋顺了

https://mp.weixin.qq.com/s/A6lWHsdb_8CqghPaMxTuQw

【15】怎样做新药FDA才会放行?

http://www.pharmadj.com/cms/detail.htm?item.id=20ef28c49f4511ecbee6fa163e42049a

【16】Opinion: Contrary to what the FDA says, Chinese regulators do care about clinical data integrity

http://www.pharmadj.com/en/cms/detail.htm?item.id=d78489bb9b7611ecbee6fa163e42049a

【17】中美双报公司及品种调查

http://www.pharmadj.com/cms/detail.htm?item.id=c2067146581e11e98efdfa163e227c38

【18】Lilly Announces Complete Response Letter for Sintilimab in Combination with Pemetrexed and Platinum Chemotherapy for the First-Line Treatment of People with Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer

https://www.prnewswire.com/news-releases/lilly-announces-complete-response-letter-for-sintilimab-in-combination-with-pemetrexed-and-platinum-chemotherapy-for-the-first-line-treatment-of-people-with-nonsquamous-non-small-cell-lung-cancer-301509537.html



前号までの記事は下記からご覧いただけます。


第18号:中国の製薬会社は、米FDAによるイノヴェントの挫折から何を学ぶべきか?

第17号:中国の医療保険制度と薬価交渉の概観(上編)

第16号:中国の新しい希少疾病用医薬品臨床開発ガイドライン

第15号:2018~2021:過去4年間の創新薬の承認状況を振り返って

第14号:医薬研発達人第14号:新春挨拶

第13号:呉一龍教授:中国は世界の臨床研究において、重要な役割を果たしている

第12号:第6回中国医薬創新投資大会(CBIIC):導入(Buy)、フォロー(Follow)、改良(Improve)から真のイノベーションへ

第11号:CDE化薬臨床1部 楊志敏部長ご講演聴講記 (第18回DIA日本年会2021)

第10号:CDEが抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)を発出

第9号:2021年上半期の中国の製薬企業の導出・導入状況の分析

第8号:   中国GVP (Good Vigilance Practice) の公布・施行

第7号:  協和キリン丁 锎氏:日中両国臨床データ相互利用を強化する可能性

第6号:臨床的価値に焦点を当てる優先審査と特別審査 |上市促進プロセス(下)

第5号:中国の画期的治療薬、条件付き承認を多角的に分析|上市促進プロセス(上)

第4号:武田薬品の王  璘:中国の薬品研究開発:世界に追いつき、世界の研究開発をリードする

第3号:1回日中ICH合同シンポジウム:日中協働と相互理解の促進

第2号:NMPAはどのようにICH管理委員会メンバーに再選されたのか?

創刊号:医薬研発達人:日中両国のさらなる医薬発展への架け橋 |発刊にあたってのご挨拶

創刊号:なぜ、医薬研発達人を立ち上げたのか?|発刊にあたってのご挨拶



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19号


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