著者|医薬研発達人編集長 高野哲臣(Labcorp Development Japan)
2021年10月25日(月)14:15-15:15にライブで実施された第18回DIA日本年会2021 Live Session 25「東アジアタウンホール」においてCDE化薬臨床1部 楊志敏部長の「中国における患者中心の創薬及び科学的規制」を聴講しましたので、周辺情報や私自身の解釈を加えながら、本号にてレポートします。
なお、本講演は、第18回DIA日本年会2021の全62セッションで採用された演題の中で、中国に関する唯一の発表でした。
楊部長の講演は、「Reform Policies」、「Reform Outcomes」、「Focus on Patient Need」の3部から構成されていました。
1. Reform Policies
1-1) 楊部長から、2015年8月より開始されている中国薬事規制改革の概略(国務院2015年44号、党・国務院2017年42号、2019年12月DAL改定、2020年7月DRR改定など)が紹介されました。
筆者の講演スライドから引用 (2021年4月2日 日薬連中国セミナー)
2. Reform Outcomes
2-1) 中国における「医薬品上市登録加速化手順」のうち、「画期的治療薬」と「条件付き承認」については、2020年7月1日の改定DRR施行によって、導入あるいは正式導入されました。楊部長によれば、2020年7月から2021年8月までに54薬剤67件の画期的治療薬指定があり、33薬剤55件の条件付き承認取得があったとのことです。
【筆者注】 画期的治療薬と条件付き承認の詳細は、2021年6月21日にCDEから公開された2020年度药品审评报告 (2020年度(2020年1-12月)医薬品審査評価報告書)やCDE websiteに掲載されていますが、2021年8月30日発行の医薬研発達人「第5号:中国の画期的治療薬、条件付き承認を多角的に分析|上市促進プロセス(上)」でも取り上げていますので、合わせてご参照ください。
2-2) 楊部長は、2021年6月21日にCDEから公開された2020年度药品审评报告 (2020年度(2020年1-12月)医薬品審査評価報告書) から、次の3つの図を引用されました。
① (図1) 2020年のCDEによる技術審査完了数は、IND 1,561件、NDA 289件、ANDA 1,700件、補充申請 3,250件、一致性評価申請 1,136件など、合計で8,606件あり、この件数は2019年の6,817件より26.24%増加していました。
② (図7) 2020年のCDEによるIND審査完了数1,561件中、化学薬品のIND承認数は907件でした。そのうち、694件(76.52%)は1類創新化薬(世界のどこの国・地域でもまだ承認されていない新有効成分の化学薬品)でした。
【筆者注】 中国独自の新薬の定義「世界のどこか1カ国でも既に承認されているのであれば、その薬は中国ではもはや新薬として取り扱わない」は、2015年8月の国務院発表時、世界中で驚きの声が上がりましたが、その中国独自の新定義は、その後、多くの製薬企業から受け入れられているように映ります。
・楊部長によれば、2020年の全IND審査の平均審査期間は50労働日だったとのことです。
【筆者注】 2021年7月5日発行の医薬研発達人「創刊号:医薬研発達人:日中両国のさらなる医薬発展への架け橋 |発刊にあたってのご挨拶」で、「2018年7月27日に国家药品监督管理局(CNDA)が発布した「关于调整药物临床试验审评审批程序的公告(薬物臨床試験審査承認手順の調整に関する公告)(2018年第50号)」によって、中国における臨床試験のIND審査期間は、60労働日(歴日で3カ月程度)へと、同日以降、飛躍的な期間短縮が成し遂げられた」と書きましたが、この60労働日というCDEにとって極めてchallengingであったIND審査の目標タイムラインは、その後、reviewersはじめCDE職員の大いなる努力によって、確実に履行されているようです。
③ (図16) 2020年のCDE相談は3,229件の申込に対して、2,451件が申込者との交流条件に合致すると判断されました。この2020年の2,451件は、2019年の1,871件より31.00%増加していました。
【筆者注】 2021年6月21日にCDEから公開された2020年度药品审评报告 (2020年度(2020年1-12......
由于文章阅读权限问题,会员登录方可查看全文哦!