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CDEが抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)を発出
研发客·6月以前
医薬研発达人

臨床試験は患者のニーズと臨床的価値に基づくべき


編集長コメント(第10号に寄せて)


2021年7月2日に中国のCenter for Drug Evaluation, CDEが発表した「臨床的価値に基づく抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)」には、「抗がん剤のPhase 3試験の対照群は、標準治療(Standard of Care, SoC)を用いるべき」、「最善の支持療法(Best Supportive Care,BSC)がある場合には、対照群としてプラセボ(単独)ではなく、BSCを選択すべき」と明記されている。なぜCDEが今頃、このようなことを声を大にして訴えているかというと、実情はそうなっていないからである。これには中国ならではの事情が関係している。


米国において、がんの診療ガイドラインは、National Comprehensive Cancer Network (NCCN) によって一元的に管理されている。最新のFDAの承認情報や日々進歩する新たな治療法やエビデンスをタイムリーに反映して、各々のがん種ごとに、頻繁に改訂がなされている。


また、日本においては、それぞれのがん種ごとに管轄する学会・研究会があり、各組織内のがん診療ガイドライン作成/改訂委員会やworking groupによって改訂されるが、各々のがん種ごとに一元的に管理されている点と、最新の厚労省の承認情報や新エビデンスなどがタイムリーに反映される点は、米国と同じである。さらに日本では、国民皆保険によって、ひとたび承認・発売されれば、日本国中で一律に新薬が供給される。


FDAは最新のNCCNガイドラインを、PMDAは各学会・研究会ごとの最新のガイドラインをそれぞれ参照して、スポンサーたる製薬企業に、その時点時点で最適な対照群の設定を要求する。


一方、中国においては、がん種にもよるが、全国で完全に意見が一本化された統一ガイドラインを制定することがまずもって難しく、がんの診療にあたって複数のグループが異なる意見を述べることも多い。また、National Medical Products Administration (NMPA) によるNDA承認後も、新薬の病院採用状況やDirect-to-Patient薬局での供給状況は地方・地域によって大きく異なり、高額新薬を使えるかどうかも個々の患者によって状況が全く異なるため、たとえその新薬が既に世界の標準治療となっていて、中国においても承認済だったとしても、「中国での標準治療」とまで言い切るのは非常に難しい。国内に統一した診療ガイドラインがなく、新たな治療法を「中国での標準治療」と主張するに足りる根拠資料を示すことが出来ないのであれば、CDEが製薬企業に対して、「同一作用機序の先行既承認薬を対照群とせよ」と強く要求することは困難である。


PD-1/PD-L1を例に挙げると、中国ではPD-1第1号として2018年6月15日に2nd-line NSCLCを適応症として輸入薬nivolumabが、そして第2号として同年7月25日に2nd-line melanomaを適応症として輸入薬pembrolizumabがそれぞれ承認され、その後、輸入薬PD-L1のdurvalumabとatezolizumabが承認されている。一方の国産薬は2021年10月までに6品目のPD-1が承認されている。凄まじいのはそれらに続くPD-1/PD-L1の数で、PD-1は42社から276件、PD-L1は29社から148件ものIND申請がCDEにて受理され、がん種別で最も過密の激しい肺がんに至ってはPD-1とPD-L1を合わせて42社155件ものIND受理件数に達している [2021年9月25日、蘇州で開催された6th China BioMed Innovation and Investment Conference (CBIIC) にてCDE周思源副主任発表]。


これらPD-1/PD-L1のIND受理品目の大部分はおそらく国産薬で、中国国内治験あるいは(先進国以外と組む)中国中心の国際共同治験も多いと思われるが、先進国で既にtrue endpointにて正式承認されている同一作用機序の先行薬(nivolumabやpembrolizumabなど)がある中で、これほど多くの同一作用機序の後続治験薬が果たして必要かどうかは大いに疑問であるし、ましてやその治験のPhase 3試験の対照群がPD-1出現以前のかつての治療法だったとしたら、決して患者本位とは言えない。


かたや米国では、2021年10月13日、FDAの目標期日より4カ月早く、pembrolizumab単剤の2nd-line ceivical cancerが(2018年6月に付与されていた)accelerated approvalからregular approval (正式承認) に変更されたが、これを受けて、FDAは、fast trackとpriority reviewの指定を得てaccelerated approval (PDUFA date: 2021年12月16日) に向けて順調に、BLA申請(2021年4月19日)→3つのFDA査察を問題なくclear→審査継続中であったPD-1のbalstilimabについて、「先行PD-1が既に正式承認に至った現況において、後続PD-1のaccelerated approvalに向けた審査を継続することは、もはや不適切である」と判断して、balstilimabのBLA申請を取り下げさせてしまった(2021年10月22日申請企業発表)。


このように、現時点において、抗悪性腫瘍薬の治験や承認審査を取り巻く環境は、国が違うと、これほどまでに大きく異なる状況となっている。今回、2021年7月2日(金)にCDEが発表した「臨床的価値に基づく抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)」は、人によっては当たり前のことが書かれているが、人によっては寝耳に水である。実際、中国の株式市場は本ガイドライン(案)に敏感に反応し、抗悪性腫瘍薬を開発中の多くの国内企業の株価は、週明けに一気に値を下げた。


このガイドライン(案)に必ずしも賛成しない人々が一定数存在すると予想される中で、果たしてこの(案)が原案通りに最終化されるのか、あるいは今後どのように修正されるのか、引き続き、注意深く見守っていきたい。


(高野哲臣)


著者|毛 冬蕾 (Mao, Donglei)


2021年7月2日、中国国家薬品監督管理局審査評価センター(Center for Drug Evaluation, CDE)は、「臨床的価値に基づく抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)」(以下、「本ガイドライン(案)」と称す)を発出し、1カ月間パブコメを募集した。


2020年1月1日から2021年11月3日までに、CDEは、抗悪性腫瘍薬について、以下の表に示す計25件のガイドラインを発出してきた (最終版9件+(案)についてのパブコメ16件)。これは中国において抗悪性腫瘍薬の臨床開発が近年急速に増えていること、にもかかわらず、これまでガイドラインが十分に整備されていなかったことを意味している。


2020年1月1日から2021年11月3日までに抗悪性腫瘍薬に関してCDEから発出された25件のガイドライン (最終版9件+(案)についてのパブコメ16件)

(CDE websiteの掲載情報を「医薬研発達人」にて拾い上げた)


2021年7月2日、CDEは何故「臨床的価値に基づく抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)」を発出したのか? 本ガイドライン(案)は、中国における抗悪性腫瘍薬開発企業や臨床試験のinvestigatorsにいかなる影響を与えるのか? 中国国内のacademiaや企業の専門家への取材も交え、以下にて若干の考察を行う。


抗悪性腫瘍薬の秩序ある開発を促進する


2011年、中国初の国産分子標的治療薬イコチニブ(Icotinib)が承認されて以来、中国において抗悪性腫瘍薬の開発は急速に進んでいる2021年2月に「Chinese Journal of Oncology」第3巻第2期にて発表された「2020年中国抗悪性腫瘍薬の臨床試験の進捗状況」によれば、2020年には722件の抗悪性腫瘍薬の臨床試験が実施され、2019年より52.3%増えた。但し、同じ作用機序の治験薬が多かった。抗PD-1/PDーL1抗体薬がその一例で、統計によれば、 抗PD-1/PDーL1抗体薬を開発する企業数は84社に及んでいた。


中国臨床腫瘍学会(CSCO)理事長、同済大学附属東方病院の李 進(Li, Jin)教授は、「中国における開発は、モノクローナル抗体、二重特異性モノクローナル抗体、CAR-Tが多いが、どれも相当似通っている。このような状況は誰もが大いに警戒するはずだ」と警鐘を鳴らした。


繰り返される競争を避けるために、中国の抗悪性腫瘍薬の臨床開発は規制や政策による指導や調整が急務である。「抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)」の背景に書かれているように、CDEが発出した目的は、臨床的価値に基づいた患者中心(patient-centric)の開発コンセプトを実装し、科学的かつ秩序ある抗悪性腫瘍薬の臨床開発を促進することである。


中山大学腫瘍予防治療センター臨床研究部副主任の曹 燁(Cao, Ye)博士は、がん臨床試験センターの責任者として、中国の抗悪性腫瘍新薬開発が急速に発展する様をしみじみと感じる一方、それに対する懸念を口にした。「現在、当院では、よく見られる一般的ながん種に対する新薬臨床試験が順番待ちの行列を作っていて、同一作用機序の企業治験が繰り返し行われている。本ガイドライン(案)においてCDEの理念は明快かつはハッキリと明確であり、このような時期にCDEが本ガイドライン(案)を発出することは必要とされていたし、タイムリーであった」と曹氏は語った。


本ガイドライン(案)の主な内容


正大天晴薬業 Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Ltd.(CTTQ)は、ジェネリック医薬品から抗悪性腫瘍創新薬へ移行中の中国の製薬企業である。同社臨床モニタリング第2部の責任者である陳 傑(Chen, Jie)博士が、本ガイドライン(案)の主な内容を要約した(下表参照)。


「臨床的価値に基づく抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)」の要約


上記に沿って、患者中心の開発の方向性を明確にする。そして、臨床試験各ステージにおけるポイントは次の通り。



「臨床的価値に基づく抗悪性腫瘍薬の臨床開発ガイドライン(案)」では、次の記載が注目されている。「実薬対照試験を行う時、患者には臨床上最適な治療法や薬などを提供すべきである。臨床試験の成功率や試験効率の向上を目的として、安全性や有効性が不明な治療法や既に承認された医薬品に劣る治療法などを選ぶべきではない。また、新薬開発とは患者により良い治療を提供することである。最適ではない治療法を対照群とした場合、たとえ試験でプライマリーエンドポイントを達成したとしても、患者に被験薬の価値を説明することはできない。」


対照群の選択に関して、本ガイドライン(案)は、陽性対照薬、プラセボ、または最善の支持療法(Best Support Care,BSC)を選択できると指摘している。対照群として陽性対照薬を使用する際、その陽性対照薬が対象患者にとって本当に最適かどうか、まず注意を払う必要がある。また、プラセボや最善の支持療法(BSC)を選択する際は、標準治療(Standard of Care, SoC)がないことを確認する必要がある。もしBSCがある時は、プラセボではなくBSCを対照群とすべきである。


「患者さんは命を預けている。最良の治療を提供しなければならない。スポンサーは、ろくに効きもしない実薬を対照群として、被験薬の有効性を検証してはならない。それは人の道に反する。そこに良心はない」と李 進 教授は述べた。「最適な治療薬を対照群とせよとのCDEの考え方に、私は全面的に賛成する。企業は、抗悪性腫瘍新薬の開発において、被験薬が最適な治療とhead-to-headで勝負して初めて販売許可(NDA承認) を取得することができる。これによって、中国の新薬開発型製薬企業に対する要求は今後厳しくなる。」


製薬企業は如何に陽性対照薬を選ぶか


過日、タイガーメッド社(Tigermed)は薬事管理に関わるイベントを主催した。会議の途中、専門家はPD-1阻害薬の一例を挙げ問題点を指摘した。中国では、2021年9月時点で既に10のPD-1/PD-L1阻害薬が承認許可を取得している。今後、PD-1/PD-L1阻害薬を開発する場合、承認許可済の先行PD-1/PD-L1阻害薬とhead-to-headで勝負して、被験薬の有効性を検証するのか? また、どの承認済薬剤を対照薬として選ぶのか?


その会議で、製薬企業側は、承認された薬剤が標準治療(SoC)になるには、医師の日常診療の中で、徐々に合意形成され、最終的に診療ガイドラインで推奨されることが必要であると主張した。


今後は、Pivotal study開始前のCDEと企業との面談の場において、対照薬の選択について、これまで以上に議論されていくことになる。


謝 辞:本記事の日本語訳と編集に携わったBeiGene (Beijing) Co., Ltd. 臨床開発アソシエイトメディカルディレクター 李 白(Li,Bai)博士、校正とレビューをいただいた医薬研発達人編集長 高野 哲臣氏に深く感謝申し上げます。


前号までの記事は下記からご覧いただけます。

第9号2021年上半期の中国の製薬企業の導出・導入状況の分析

第8号:   中国GVP (Good Vigilance Practice) の公布・施行

第7号:  協和キリン丁 锎氏:日中両国臨床データ相互利用を強化する可能性

第6号:臨床的価値に焦点を当てる優先審査と特別審査 |上市促進プロセス(下)

第5号:中国の画期的治療薬、条件付き承認を多角的に分析|上市促進プロセス(上)

第4号:武田薬品の王  璘:中国の薬品研究開発:世界に追いつき、世界の研究開発をリードする

第3号:1回日中ICH合同シンポジウム:日中協働と相互理解の促進

第2号:NMPAはどのようにICH管理委員会メンバーに再選されたのか?

創刊号:薬研発達人:日中両国のさらなる医薬発展への架け橋 |発刊にあたってのご挨拶

創刊号:なぜ、医薬研発達人を立ち上げたのか?|発刊にあたってのご挨拶

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